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現在地から離れ「くらし」を見つめなおす1ヶ月 【香春町トライアルステイ2019 大場さくらさん滞在記】

2019.09.12

こんにちは!2019年トライアルステイ参加者の 大場さくら(おおばさくら) です。
 
 
普段は埼玉に住んで画家として活動しています。その中で、自宅とは別にいつかちゃんとアトリエを持ちたいと考えていました。しかし、今の生活ではなかなか難しいのが現状です。
数年前から地方のアートイベントと関わりができ、関東以外の地方に住む作家と話す機会が増えました。その中で、すぐに移住するのは難しいとしても、地方にアトリエを持ったり、期間限定で地方に移り集中して制作するのは実際どうなんだろう、と思っていました。偉大な画家たちの中には季節や年齢で住むところを変え、多くの刺激を得ながら制作した人も沢山います。そういう生活もいいのかもしれないと思い始めた矢先、この香春町の移住体験のツイートを見かけ、参加することを決めました。
 
こちらでは、制作というよりも、ひとりの人間として体験したことやその中で感じたことをお伝えしたいと思います!
滞在制作についての記録は自分のブログのほうに綴らせて頂きますので、興味のある方は是非ご覧ください!
 
 
 
 
・・・というわけで改めまして、こんにちは。おおばです。
 

▲駅舎とレンタル愛車くんと暑さで疲れきった私。
 

滞在中はこんなめちゃくちゃカッコいいヘルメットで香春町を駆け抜けておりました。
私は駐車が引くほど下手なため、車を借りるのが怖く原付をお借りしました。最初は恐る恐るでしたが、普段地元を移動するとき自転車なのもあり、すぐ慣れました。むしろバイクの楽しさに目覚めました。台風が来なければもっと乗り回したかったな~!
夕方まで駅舎で制作し夕涼みを兼ねて松原温泉へ行くのが滞在中の楽しみでした。

 

 

はじめてのオープンアトリエ

▲まだ綺麗な頃の制作スペース。日が経つにつれカオスになっていく。
 
滞在中、駅舎の「第二待合室」の一角をアトリエにさせてもらいました。

私は篭って制作するというよりも、人とコミュニケーションをとり、議論をしてテーマや作品を深めていくタイプなので、こういった公開制作というかオープンアトリエというか、そんな形で滞在制作ができ、1ヶ月終わってみればいつもの3倍近くの作業量でした。
自分のアトリエを持った時のビジョンややってみたいことも見えてきたり。
 
 
 
▲途中からは乾燥も兼ねて勝手に展示会を行なっていました。
 
 
駅を利用する方や遊びに来た町民の皆さんにも見てもらえて本当に充実しました。
直接、絵について説明できたりするのは良かったです。
 
▲ある日、気づくと机の上に野菜があり、なんともいえない感情と制作意欲が沸いた。
 
 
ここは誰でも利用できる待合室で、「地域おこし協力隊」の方が事務所にしています。トライアルステイで滞在している人もコワーキングスペースとして利用できます。思いつきでアトリエ設置を相談したら快くOKしてくださり、期間限定とはいえ夢の個人アトリエ(!?)GET!こういう寛容さも町の魅力です。なかなか、関東でこういうスペースを借りるのは難しかったりしますが、町が積極的に外に発信したり新しいことをしようとしているからこそ、なのかな?と思いました。
 
滞在中は作家としては、駅舎に来る方と絵を描いたり、アートイベントを開催させてもらったり詳しくは私のブログにイベントレポートがあります、夜祭でライブペイントをしたりしました。
駅舎ではじめて油絵を見たという方に出会って改めて思ったのは、美術は敷居の高いものと思われがちです。でも、違うんだよっていつも思います。なので、そういう想いとかを話す機会があったのも嬉しかったな。
いつもより少し身近にアートや作家を感じてもらえてたら嬉しいです。
 
 
 
 

いろいろな体験

▲協力隊の夕子さん主催「柿渋ワークショップ」にて。
 
 
私は一応作家として来たにも関わらず、特に最初の2週間はほぼ遊びまくっていました。
1枚目の絵を書き上げた時みんなに「本当に画家だったんだ」「絵、描けるんだね(笑)」と言われるほどに。それほど「生活」が新鮮で楽しかったのです。
 
そんな中でも他のトライアルステイの方がまだ記事にしてないことで、私が体験したことを特筆しようかなと思います。
 
 
 
 
集落の盆踊り
お祭りの催し物のひとつではなく、亡くなった方を送るための行事としての盆踊り。地方の文化や風習に興味があるので練習会から顔を出させてもらいました。そこで少し太鼓を叩かせてもらったら本番も叩いてみない?という話になり、当日も叩かせてもらいました(ドラムをやっていた伏線がここで回収されるとは…)。貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。
 
 
 
 
大人の本気の川遊び
「川に行くぞ!」といわれ、足浸けて少し水遊びするぐらいかなと思っていた私。河原でバーベキューする大学生みたいな舐めきった格好でついて行ったのですが、水着にTシャツを着てみんなが現れ、私は全てを悟りました。そしてカッコイイ水陸両用の靴を履いてて、これが香春のマストアイテムなんだなと心にメモ。楽しかった!次は泳げる格好で参戦します。
 
 
 
あとは、野菜の収穫や、地域の方が講師のワークショップに参加したり、海、山、BBQ、花火…書きたいことは山ほどあります。日常的にも美味しいご飯にたくさん連れて行ってもらったり、家で宴会したり…。
私はお酒が好きなのでみんな好きなものを持ち寄って夜な夜なお話したりするのが本当に楽しかったです。繋がりでどんどん話が広がり、面白そうな話が立ち上がったり話が通るスピードも速くて、いろんな人を紹介してもらっているうちに忙しく充実した日々を過ごさせてもらいました。すぐ集まれるところに同世代の話しやすい仲間がいるのは、かなり羨ましかったです。
以前トライアルステイに来てた千聖ちゃんを紹介してもらって、出会えたのも嬉しかったです。同じ歳なのもあり、地方の暮らしとか、都内との違いとかそういう話がリアルで。実際に動いている人と話すことで自分の現在と比べることも出来るし、具体的な話ができました。
そういう人と人の繋がりが密接で、いい意味で軽いのが、私には新しい感覚でした。
 
 
 
 
 

これからの「くらし」のことを考える

▲参加させてもらった「農業塾」の畑とセメント工場。かっこいい。
 
私はそもそも生活にあまり興味のない人間でした。
自分の衣食住よりも、もっと哲学的なこととか文学的なこととか、そういうことを頭で考えることや表現することが大切で、絵を描くために最適な未来への歩み方をいつも考えてきました。だから、自分自身が何を食べ、どういう暮らしをしていくか(していきたいのか)ということをあまり考えていなかったように思います。
いま、全然、最悪なわけじゃない。衣食住に不自由なく、人間関係にも恵まれていて、別のことでお金を稼ぎながらだけど好きな絵を研究している。都会に出やすくて、歴史ある地元(川越)は大好きです。都内は刺激的なことだらけ。ぼんやりしてたって垂れ流しで最新の情報が入ってくる。だけど、最高なわけでもない。なんだか窮屈で、少しだけ退屈で、寂しくて、ぼんやりとした焦燥感がある。そんな毎日の中で「ああ、なんかこのままじゃ多分ずっとこういう毎日が続いていくだけなんだ」と思った時、「私という人間はどうやって生きていきたいのか」にやっと目を向けることができました。

ここに来たシンプルな理由は多分、「今の環境を変えたいから」なんだと思います。
だから、いまこのタイミングでトライアルステイという形で、自分の日常とは全然違う流れの「日常」を体験できたのは本当に大きなことだと思います。そして「知っちゃったな」という気持ちを私に抱かせました。
 
街、という集合体は全てが簡略化され、便利で速く正確なことが正義です。そういう中で生きていると、こんな手間をかけて絵を描く意味はあるのか、たまに不安になります。農業を間近で感じて、絵と似ていると思いました。すごく「くらし」に密接した創作活動だなと思って、感動しました。膨大な時間を使って手間暇をかけて、それでもうまくいかないこともあって、試行錯誤したのちに私たち消費者の手に届いているんだと改めて感じ、丁寧に作り届けることの根本を教えてもらったような気がしました。そして、自分の生き方もなんだか肯定されたような気がしました。
 
 
 
どこにも属さない「私自身」として過ごした30日はとてもかけがえの無いものでした。
九州にまた帰ってこれる場所が出来たのも心強いですし、頼れる仲間が増えました。
 
イナカ暮らしは街と比べると情報が少なく、自分でアンテナを張って探しに行かないといけない。でもそれはある意味「シンプルで」「余白があって」「自分で作ることができる」ということだと思います。私はそれが面白いと思えたし、そういうひとにイナカ暮らしは向いているなと感じました。
 
 
イナカ暮らしを迷っている画面の向こうの誰かに少しでも興味を持ってもらえたなら嬉しいです。
私に関わってくださった全てのみなさんありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします!
 
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◎滞在中の様子はコチラ
 

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