香春町オリジナルチェックができるまで ー其の1ー
2021.03.15
こんにちは、ムラカミです。
今回は「香春町オリジナルチェック」について書こうと思います。
もう知ってる方も多いかもしれませんが、香春町は来年度から町内の全小中学校を統合し、義務教育学校「香春思永館(かわらしえいかん)」を新設します。
その制服のスカートなどに採用される「チェック柄」を
世界にひとつだけの香春町のオリジナルチェックにしよう!
ということで、「香春町オリジナルチェック」を作ることになりました。
私は東京でテキスタイルデザイナーとして10年ほどアパレルブランドに勤めており、柄やチェックを作ったり配色を考えるのが主なお仕事だったため、今回香春町教育委員会よりデザインアドバイザーとして関わってもらえないかというご依頼をいただきました。
やりたいです!
もちろん即答です。
テキスタイルデザイナー時の経験や知識をこのような場面で使うことができるとは、、、感無量です。
その後の制服デザインにもご協力させていただくということで承諾させていただきました。
「そもそもオリジナルチェックってなに?」という疑問もあるかと思いますので、「広報かわら」に掲載されていた文章を抜粋します。
今回完成した『香春チェック』は、イギリス 王室にも献納しているスコットランドの老舗キンロック・アンダーソン社から認定を受けます。
スコットランドでは、タータ ンチェックは日本の家紋と同じ意味を 持ち、これは『香春チェック』が世界にたった1つしかない香春思永館だけの オリジナルのチェック柄であると認められるということになるんです。
最近このような取り組みをする学校も増えてきているのだそう。
面白い試みですね。
さて、ではまず何から始めたかというと、
「子供たちが着る制服の柄を決めるのだから、作成には是非子供たちにも関わって欲しいです!
子供たちに向けたワークショップをやらせて下さい!」
と教育委員会にお願いして、小中学生20人ほどを集めてもらいワークショップを開くことになりました。
内容は、まず「タータンチェックって何?色って何?」という講義から始まります。
ここでも少し紹介させてもらいますね!
タータンチェック(正式にはタータンといいます)とは、スコットランド政府の登記局による「スコットランド・タータン登記所(The Scottish Register of Tartans)」という機関が法律に則り、タータンをスコットランドの伝統的な織物として保存・保護・登録管理しています。
タータンにはデザイン毎の名前があり、いくつかのカテゴリーに分けられます。
そのデザインにはそれぞれ歴史と意味があり、どのような用途でその柄を作ったのかを表しています。
先にもありましたが、日本で言う家紋のようなタータン柄には「クラン・タータン」や「スチュアート」などがあり一族の名前が柄についています。
行事などの際、揃いのタータンを制服のように着たり、戦のときは味方を見分ける意味で使うなど、場面によっては旗印のような意味も持ちました。
また、土地の名前がついた「ディストリクト・タータン」や、「ミリタリー・タータン」と言って軍事用のタータンがあったり、王家が用いてきた特別なタータンには「ロイヤルタータン」と名前が付けられていたりします。
奥深くて面白いですよね!
次は、色のお話です。
「日本の伝統色」ってご存知ですか?
藍色や朱色、茜色、鶯(うぐいす)色、瓶覗(かめのぞき)、空五倍子色(うつぶしいろ)、などなど千種類以上あると言われています。
そのどれもが日本特有の色彩感覚に基づいており、古代から昭和中期くらいまでの歴史資料に出典されています。
こういった日本ならではの色には、自然の中にある色や植物から染めることで出すことができる色がとても多いのです。
例えば、藍色や茜色、紫色などは全て植物の名前なんですが、その色は植物の色ではなく染色したときに出る色です。
藍染は葉っぱにある青色色素を抽出して染めます。
茜は根の部分を乾燥して煮出して染めます。日本茜は生息数が少なく貴重です。かつて、日の丸の赤は茜を用いて染められていました。
紫も根を使います。白い小さな花を咲かせる植物です。とても貴重なため位の高い人しか身につけることができませんでした。
五倍子は白膠木(ぬるで)の木にできる虫の瘤(こぶ)のことで、これを粉にして染めます。自然の中にあるあらゆるものを使って染色をしていたということがわかりますね。
日本の自然がとても豊かで、自然が生活に密着していること、また四季があるということもあり豊富な自然の色を身近に感じてきた日本ならではの色なんですね。
他にも文化ともとても密接に関わっていて、千利休の名を使った「利休色」「利休茶」「利休白茶」などもあります。
利休が好んだ色だったとも言われていますが、実際は当時の着物屋が新作を販売するときに有名人の名を色に当てて使ったと言われています。
能の演目から色の名がついた「二人静」などもその歴史を紐解くと、切ない物語があったりします。
日本以外にも、食の文化が発展したフランスの特有色だとシャンパン色、ボルドーワインの色、チョコレート色などがあり、鉱石が豊富に取れる中国だと宝石の名前の色が多かったりと、「色」というのは私たちの生活の中から生まれているんですね。
ということで、ワークショップに参加してくれた子供達には「自分にとっての香春町の色」をまず探してもらいました。
「自分にとっての」というところがとても重要で、日本の伝統色というのは実はとても曖昧なんです。
「桜色」だって平安時代によく目にしていた桜は「山桜」で、今私たちがよく目にするのは「ソメイヨシノ」若干印象は変わってきます。
こういう曖昧さがあるからこその自然の色なので、自由な感覚で色を感じてみて欲しい。
「色」という視点で自分にとっての香春町を切り取って、あなたにはこの町がどう見えているのか表現して欲しいという思いで講義をさせてもらいました。
「通学路で見る景色」「友達と遊んだ公園」「家族で登った山」など香春町での生活の中で感じた色を、「日本の伝統色」で作ったたくさんの色チップの中からピックアップしてもらいます。
「田んぼの色」も「川の色」も「香春岳の色」も季節や時間、その時の気持ちで色は変わってくるから自分だけの色を見つけて下さいとお願いしたのですが、、、
さてどんな色が出てくるか。
楽しみにしつつ、長くなったので、其の2に続きます。
其の2はこちら→ー其の2ー←のリンクをクリックしてください。
ものづくり担当
ムラカミ
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