春、香る町の「桜染め」
2020.05.05
「春香る町」と書く「香春町」にとって桜は特別な存在のように感じています。
「香春町産の桜を使った桜染め」がしたいな〜と思っていたので、以前から香春町役場の産業振興課の方に「もし桜の枝を切ることがあったらいただきたいので、連絡してください」と伝えてありました。
そして今年2月中旬に「桜の伐採作業がありますが、枝いりますか?」と連絡いただきました。
もちろん二つ返事で「欲しいです!」と返答。
桜は枝を使って染めることが出来ます。
でも中々桜の枝って手に入らないのです。
なぜなら「桜切るバカ梅切らぬバカ」ということわざもあるように、桜の枝をむやみに切ってしまうと、切り口から腐敗が進み、最終的に枯れてしまうようです。
そのため、桜が大きくなっても困らない場合は特に剪定はしないのです。
それでもさすが日本を象徴する花である桜、香春町でもあちこちで目にしますよね。
(ねこちゃんかわいい〜)
実は香春町内の桜の名所は、地域住民の方々が定期的に手入れをしているところが多いです。
ありがたいですね^ ^
今回、桜の枝が欲しいと役場に相談していたところ、「味見さくら会」が地元の桜公園の整備作業をされるということで、
間引きのため伐採された桜の枝を少し分けていただけることになったのです。
桜の種類は、ソメイヨシノです。
桜の種類や枝の様子、樹齢、切った時期などで染まる色は異なります。
「山桜が比較的染めに向いている」とか「素直な枝がいい」などなど色々と聞きますが、実際は前述した通り選べるほど手に入らないので、その時々の「縁」という感じです。
共通して言えるのは、「花をつける前の枝」であることが重要です。
桜の花の色素がぎゅっと枝の中心部に詰まっているから、と私は思っています。
さくらんぼの枝なんかは枝を切ると中心がピンク色をしていて桜よりも濃く綺麗に染まります。
桜も同じ感じなのではないかと思っています。
さて、私も染液作りからやるのは3年ぶりです。
こちらは去年織の先生が作った染料で染めさせてもらった麻糸です。
とても綺麗なピンク。このピンクを目指します!
しかしながら2月3月はバタバタしてしまい、気付けばもう4月。
だいぶ放置してしまったから「大丈夫かな?」と思いつつ、このご時世でゆっくり染色する時間もとれそうだったので、不安もありながらですが、やっと取り掛かります。
まずは、枝の粉砕作業です。
こちらが分けていただいた桜の枝です。
これを粉砕するわけですが、どうやら産業振興課で新たに大きな粉砕機を購入したとのこと。
竹林整備作業用とのことでしたが「是非使わせてください!」とお願いして貸していただきました。
とても大きな粉砕機のため「あっ」というまに終了です!
枝がゴリゴリ食べられていくように吸い込まれていきます!
すごいパワー!
今まで剪定バサミか藁切り機しか使ったことがなかったので、その早さは圧巻です!
こちらが粉砕後です。
これでも1番大きなチップで、部品を変えればパウダー状にまで粉砕できるようです。
すごいですね!
さて次は、粉砕した桜の枝チップを水で煮出していきます。
桜の場合、最初は黄色や茶色の色素が出てきて、その後赤い色素が出てきます。
そのため、最初の何回かは捨ててその後も試し染をしながら染めたい色になるまで煮出していきます。
「煮出す→漉す→新たに水を加えて煮出す」この繰り返しです。
煮出してる間、桜餅の香りが広がります。
どうやらこれは「クマリン」という成分らしく、桜餅を食べるくらいなら大丈夫だけど、過剰摂取すると肝臓や腎臓によくない物質らしいです。。
でもいい香り。
あんこが食べたくなり、道の駅で「後藤の饅頭」の酒饅頭を買って食べました。
すごい美味しい。。。
さて、煮出し液の様子を見て見ましょう。
こちらが3回目の煮出し液です。
そしてこちらが7回目の煮出し液です。
最初の写真の方が若干黄色っぽいのが分かりますでしょうか?
こちらは試染した布です。
上から下に向けて煮出し回数が増えていきます。
だんだんとピンクっぽくなっていってるのが分かりますね。
このように桜染は何度も何度も煮出して色を出していく、とても手間のかかる染めなんす。
私も今の時点で、1週間ほどが経ちました。
だんだんと赤い色素も出てきたので、そろそろ染めていこうと思います。
今回ハンカチやストール、生地や麻紐も染めました。
煮出した桜チップを漉した染料の中に被染物を入れていきます。
ムラにならないよう布や糸を繰りながらじっくり染めて、その後洗浄、媒染、染めで染め上がりです。
綺麗な桜色に染まりました。
こちらの写真を見ると繊維の種類や生地の厚さで同じ染料でも色が違うのが分かりますね。
この頃にはもう「クマリン」の香りは無くなり。お茶のようないい香りがします。
こちらが綺麗に染まったストールです。
同じ染液を使って染めてもここまで色の違いが出ます。
グラデーションになってて綺麗です。
ハンカチと、実際に身につけた写真も。
日本人の肌の色にもすっとなじむ優しいピンク色で、とても素敵です。
植物染全般そうなんですが、染める人によって染め方はそれぞれ、30日〜40日煮出し続けたものをさらに1ヶ月熟成させてから染める方法もあるようです。
私の染め方は、3年ほど前に修行させてもらった千葉の植物染の先生から教わって、それを基盤にネットや本で調べながら染めた方法です。
なので、今後も勉強し続けていろんな染め方を試していきたいと思います!
さて、今回の桜染め商品を購入してもらえるようECサイトをオープンしましたので、ぜひご覧ください1
今後も色々な商品アップしていきますのでお楽しみに!!
以上、「春、香る町の桜染め」でした!
ものづくり担当 ムラカミ
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