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カケルくらし

里山資源で仕事と仕事を
カケルくらし

2017.03.09

若い人こそオススメの香春町

—粟崎さんはJAの園芸部会で部会長をされているんですね。その活動について教えていただけますか?

粟崎さん:「私がやっている園芸部というのは採銅所地区の中でも歴史あるJA部会で、55年の歴史があります。高齢化で平均年齢は70歳ぐらいでしょうか。昔は部会に入る条件が生産規模とか売上規模とか、とても厳しかったのですが、今は若い力をどんどん入れていかないと部会活動ができない状況になっています。生産のメインは春のタケノコと、秋の干し柿です」

粟崎さん:「採銅所では伝統的に干し柿が作られてきましたが、今は冷たくシャーベットのように食べる“採銅所の生干し柿”というデザートにして売り出し始めました。私たちが生産した柿を商工会で買い取って急速冷凍をかけてつくっていて、道の駅などで販売しています。

タケノコについては、金明竹(きんめいちく)という珍しい竹のタケノコをブランド化して売っていこうとしています。採銅所地区の竹林は後継者がいないため荒れている状況が見られるのですが、なんとかして復活させていこうとしているところです」

—年輩の方々が頑張っているんですね。そうすると若い人がやってきて、柿や竹の仕事をするのはウェルカムなんですか?

粟崎さん:「もちろん。人口も減っている中で、1人でも2人でも香春町に人が増えてくれたらいいなと思っています。この春から町にきてくれた地域おこし協力隊の村井さんにも、ありがたいなと私は思っているんですよ。村井さんは気さくに話せるし、私たちの祭りにも積極的に参加して溶け込んでくれています」

村井さん:「協力隊に応募する前に実際に見てみたいと思って、町役場の坪根さんに町を案内して頂いたんです。その時に粟崎さんとたまたまお会いして、“おーい、なにしよるんかー”って笑顔で声をかけてくれて。それで香春町に住もうと思っていて見学に来ましたと、10分くらい自己紹介とかお話をしたんですね。

そしたら、“にいちゃん、来たらいいやん!”って言ってくれたんですよ。だから“そんな感じでいいんだ(笑)”って思えたんです。だけどもしその時に“ほんとうに大丈夫か!?”ってすごく心配されたり、“来ても何もないよ”とか言われていたら、不安になったかもしれないですね。だから香春町にしよう!と最後の一押しになったのは、粟崎さんとの出会いだったんです」

粟崎さん:「村井さんは第一印象も良かったですね。若い人たちがこれからイナカに住んで田んぼや畑をしようというのは、私は絶対にいいと思います」

仕事のタネは無数にある!

—若い人が香春町でくらしていくために、仕事面でアドバイスを頂けますか?

粟崎さん:「まずは食べ物を自分でつくること。休耕地がたくさんあるので田んぼも借りられますよ。野菜は自分の家族が食べるためには、何本か植えておけば十分です。たとえば私はナスビでもね、4本くらいしか植えていないんですよ。家内と私の2人だったらそれで十分。食べることには困らないですね。たくさん作って食べきれないくらい採れたら、道の駅とか農協のふれあい市とかに持っていけばちょっとしたお金になります」

粟崎さん:「さらにオススメするのは、複業で収入をいくつもつくることです。たとえば山が好きなら、神様にお供えするシバの木を切って売るんです。どこの木を切っていいかというのは、町の人に聞いたらいいですね。シバを植えている山の持ち主も高齢になって山に行けなくなっていたりして、放置していることも多いです。

そういうのは切ってあげると新芽が出たりして、木や山にとってもいいので、聞いてから切ってあげるといいですね。やっぱり山に人が入ってあげることによって、山が生きてきます。入らないと山が荒れてしまうんです」

粟崎さん:「香春町はタケノコが特産品ですが、タケノコの掘り手が減って竹林も荒れています。この復活にも若い人の力が必要です。ですけど“やれ”と言ってもできないですよね。だからまず自分たちが荒れた竹林を元に戻して、“こうやれば収益があがるよ”と見せてやらないと。それで、2町歩くらいの竹林を借りて、町のバックアップも受けながら整備を進めているんですよ」

粟崎さん:「私の3歳くらい年下の友達で、事業をやめて香春町に帰ってきた方がいるんです。聞いたら今は仕事をしていないというので、“じゃあまずタケノコを1トン目標で掘ってみて”とアドバイスしました。1トンで大体10万円になります。そしたら1トンいったんですよ。

そしたら次は1.5トンいこうと。彼はそれもクリアして、最終的に3トン超えましたね。私は“まずはこれくらいならできるだろう”というラインで目標をつくって、少しずつ目標を上げていくようにしているんです。出荷する時には私の軽トラックを使って一緒に運びました。タケノコだけで月30万円。彼にはいい小遣いができたわけです」

—いろいろ複収入を作れるんですね。ところで、“まずやってみせる”とか“目標を少しずつ上げていく”なんて、粟崎さんはコーチみたいですね。粟崎さんにもそうしたコーチや師匠がいたんですか?

粟崎さん:「私は会社勤めをしていたので、その経験ですね。自分がしてみせないことには、みなさんついてきませんので。だから今も柿の下草刈りとか、私は絶対に出ます。やっぱり部会長がでてやってみせないとね。

柿とかタケノコについて新しく商品化しようという時にも、やっぱり“そこまでやらないといけないのか”という声がありました。でも実際にやってみせて、事業の芽がでてきだしたら“やらないといけないね”と変わってきました。

事業のアイデアはいろいろあります。たとえば空いている土地に大根を植えて、千切り大根を干してつくるとか。ノウハウは持っているので、酒でも飲みながら話せばいろいろ出てきますよ(笑)」

—最後に、これから香春町に住んでみようという方にメッセージを頂けますか?

粟崎さん:「入ってくる人はウェルカムです。ですけど面白半分ではなくて強い意志を持って、香春町に来てもらいたい。そういう人は周りの人が応援していくと思います。私も組織での応援もできます。JAの部会に入っていただいたり、いろんなバックアップができると思います。

来てもらう人には、まずこの町の魅力をその人なりに見ていただきたい。そして自分でまずやってみてどんどん動いてもらえたら、嬉しいですね。やってみたら、どこがいいとか悪いとか具体的なアドバイスもできるじゃないですか。

香春町は面白いと思うよ。イナカで生活していたら、今日は草刈りしよう、とかやることがたくさんあるから、年をとってもボケる暇もないです(笑)」

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